澤谷鑛心で認めたものが現実となる君島君、君の心の中に何があったのか、それが知りたいですね。
心で認めたものが、現実に現れてくるのですからね
心の中ですか息苦しくなった、と言いましたが、今までの人生のなかで、なにか息が詰まるほどびっくりしたことはありませんでしたか
今までの人生の中でですかええ一番びっくりしたことと言えば、五年前、結婚した植田たちが事故に遭ったときのことですその事故は、五年前の十二月二十一日の午前四時頃に起きた。
当時君島と同期で親友だったのは、植田隆行の他に三崎健吾と杉田好春がいた。
四人でいつもつるんでいた。
その日、君島は夜勤だった。
他の三人は残業を済ませて、一緒に行けなくて残念だなと言い残し、遊びに出かけたのだった。
三崎が運転し、植田が助手席に、杉田は運転席の真後ろにいた。
三人の乗った車は、時速百キロを超すスピードで走行し、バイパスに入った途端、対向車の大型タンクローリーと斜め正面から衝突したのだった。
エンジンの破片は、事故現場から五十メートルも飛んでいた。
運転していた三崎健吾は即死。
杉田は、衝撃で外れたドアから道路に放り出され、手術はしたが一週間ほどで死亡した。
そんな事故の中、植田だけは打撲傷で一週間の入院で元気になって帰ってきた。
すさまじい事故でした。
NHKのニュースで何度も流れました生き残った植田隆行君の結婚式の帰りに、過換気症候群の発作が起きたわけですね。
そうです。
発作の起きた道路を進むと三人の事故のあった場所に行きます近いわけですね。
そのとき、どんなことを考えていましたか。
結婚式に行く飛行機の中から、一人で出席するのは淋しく思いました。
帰りは、植田の結婚の喜びを思うにつけ、亡くなった二人を思うとせつなかったですね。
車が事故現場に近づくにつれ、淋しく悲しい思いがあふれましたそうですか。
それは亡くなった二人との絆があなたにあるのですねそれになんですか救急車でボクが連れて行かれた病院は、三人が事故のときに入った病院でした。
同じ病院。
ええ、だからできる限り早く転院しよう、と考えましたそれは、偶然で怖い話に聞こえますね。
でも、それはあなたの心の中の想いが、過去の事故を再現してイメージをしていたのです。
そして、病院に意識が向かい、その現実を引き寄せたのですボクが病院を引き寄せたのですか牽引の法則です牽引の法則ですか。
でも考えてしまうんです。
もし、夜勤でなかったら、ボクも死んでいたかもしれません。
なにをするにも一緒でしたから。
だから、ご家族の方が病院に来られたとき、一所懸命にお世話をさせてもらいました。
ボクは事故とは直接関係ないのですが、すごく悪い気がして君島圭一は、目にうっすらと涙をにじませながら言った。